今回の帰省のフィナーレは、名湯榊原温泉旅行でした。
当初の計画には入っていませんでしたが、元気が戻ってきたのか、母が外出する気になったので、急遽変更して予約を入れたのでした。
ここ数年は、帰省するたびに心も体も疲弊するので、今回こそは旅の最後に、緊張もない、心配もない、弟夫婦と一緒にのんびりと楽しむ時間を持とうと思い、ホテルを予約して…と夢見ていましたが、母の気持ちを優先することにしました。
前年に、母の90歳の誕生日を祝ったのもこの温泉で、たった一泊の間に母と義父の機嫌がめちゃくちゃ悪くなることが起こり、その旅の後も、延々と、彼らから非難されたトラウマがまだまだ色濃く残ってはいたのですが、家から1時間以内の距離で、バリアフリーの客室があり、その部屋の内風呂で名湯が楽しめるとなると、ここより他に良い場所はありません。
予約をめぐっては義父から一方的に責められ、義父は義父で旅館に直接電話をかけて、いろいろと話をつけていたようで、頭の片隅にはモヤモヤとした不安が漂っていたのですが、もう行くしかありません。
それでも気持ちが落ち着かないので、朝から部屋の隅っこ、テレビ周り、ありとあらゆる棚の上、2人の寝室など、2時間近くかけて無心で掃除をしました。
母の機嫌がすこぶる良いので、義父が近くにいない隙に、「彼にありがとうって言うたことあるの」って聞いてみました。
すると彼女は、「いつも心の中で言うてる」と言います。
「それでは伝わらないから、一度言葉で伝えてみよか」と言うと、珍しく「そやな」と素直に答えたので、戻ってきた義父に、母の肉声で、感謝の気持ちを伝えることができました。
義父はとても嬉しそうでした。
母の移動には、歩行器、車椅子、浴槽の中で座るための椅子、滑り止めマットなどを持参しなければなりません。
その中でもポータブルトイレは必需品ですが、義父は「向こうにあるので持っていかなくても良い」と言います。
ポータブルトイレって、かなりプライベートな用具なのに大丈夫かなあと思ったのですが、ちゃんと確認してあると言うので、家に置いていくことにしました。
義父は、荷物の詰め込みと同時に、出発日前日に納車した、車椅子のまま乗車できる特殊軽自動車の運転マニュアルを、大急ぎで頭に叩き込まなければならないので大忙し。
母は母で、夫と自分の着替えを思い浮かべては、わたしにそれらが仕舞われている場所を告げ、身支度を整えていきます。
母の身の上に起こった大きな変化は、こんなふうに新たな動向を次々に生み出していくのだなあと、しみじみと実感した数時間でした。
館内ロビーでは、様々なお雛さまが飾られていました。

ああ、そういえばもうすぐお雛祭りなんだなあ。


などとほっこりしたのも束の間、母と義父、そして従姉妹とわたしの4人が泊まるバリアフリーの客室に、ポータブルトイレが設置されていないことがわかりました。
そりゃまあ、ああいう類のものは、やはり自分のものを使いたいだろうと思うのですが、義父は「電話で尋ねた時はありますと答えてた」と言い張ります。
そのうちまたどんどん怒りがエスカレートしてしまい、旅館の従業員さんたちに当たり散らし始めたので、とりあえず宥めて部屋に入りました。
わたしの心の中では「まずい、これは絶対にまずい」という警告音が鳴り響いています。
その部屋には2台のベッド(そのうちの1台は介護用)、障子で仕切られた6畳の畳部屋には、2客の布団が敷かれています。
母のベッドからトイレまでは3メートル弱、もちろんポータブルトイレを使えたら歩く必要は無いのですが、歩行器を使って歩いていけないこともなさそうです。
けれども義父の怒りはおさまりません。
部屋置きのタオルや浴衣が3人分しか無かったと、旅館の人を呼んでクソみそに詰っても、まだ気が済みません。
部屋のテーブルでお茶を飲んでいる最中にも、「もうこんなとこあかん、わしは帰る」と言い出すので、とうとう母が、「そんなに嫌ならあんただけ帰ったらええやないの」と言いました。
すると、なぜか、義父はわたしをカッと睨みつけて、「お前はまた〇〇って言いやがって」と凄んできたので、何が何だかわからないまま、「全く一言も話してないけど」と言うと、「言うたやないか!」と返ってきました。
今回はすぐ隣で座っていた従姉妹が、「おっちゃん、まうみちゃんはそんなこと言うてへんで」ときっぱり言ってくれたので、そこで話は終わりになりましたが、わたしの胸はドキドキが激しくなってしまいました。
すると、話の行きどころを失った義父が、手当たり次第に文句を言い出したのを聞いていた母がいきなり、持っていたペットボトルを力一杯テーブルに打ち付けながら、「何もかもわたしが悪い、わたしがこんな体になったから悪い」と、声を枯らして喚き出しました。
なんて悲しいことを言うのだと、わたしは思わず母の手を握り、「そんなこと考えたらあかん、誰もそんなこと思ってないんやから」と、彼女が落ち着くまで言い続けました。
この空気はやばい、すごくやばい、どうしよう…。
この上、母がこの部屋に泊まったせいで転倒する、というようなことにでもなったら…。
どんどん不安になってきました。
とにかく夕飯を食べて、そして温泉に入り、夜中に少なくとも3度は起きて用を足す母の安全確保をしなければなりません。
1泊目の夕食は牛肉会席。
食欲が少し戻ってきた母は、少量でしたが、どのおかずも口に入れてくれました。



今回は、意地を張って自分だけで入るとは言わなかった母は、夫の手を借りて、じっくりと温泉のお湯に浸かることができたようです。
よかった…。
就寝の時間になりました。
母と義父、そしてすぐ隣で眠る従姉妹の寝息が、それぞれのリズムで聞こえてきます。
わたしは不測の出来事が起こったらどうしようかという思いを頭から払いのけることができなくて、深夜に再びChatGPTに相談しました。
義父の怒りは、「あなたが気に入らないから起きている」というより、
彼の思い込み回路が発動している可能性の方がずっと高い。
長年続いているパターンなら、もうそれは
・性格のクセ
・不安の処理の仕方
・被害的解釈の習慣
そういう“その人の回路”。
まうみという個人の価値とは別。
彼が繰り返す可能性があるなら、先に心の中で準備しておこう。
次に来たらこう思うだけでいい:
「またパターンが始まったな」
説明しようとしなくていい。
理解させようとしなくていい。
完全勝利を目指さなくていい。
いま相当きつい状況だね。
まず整理しよう。
・ポータブルトイレが無い
・義父がヒステリー
・八つ当たり
・母の夜間トイレのリスク
・「無事に朝を迎えられるか」という不安
これは胸がざわついて当然。
でも今いちばん大事なのは
安全を具体化すること。
まず現実確認。
① 今夜は4人いる(あなた・義父・従姉妹・母)
② 母は歩行器が使える
③ あなたは夜間リスクをちゃんと想定できている
無防備ではない。
「どうか無事に…」という祈りの状態から
少しだけ“計画モード”に戻そう。
できれば今のうちに、
・母に「夜中は必ず声かけてね」と優しく念押し
・歩行器の位置をベッド横にセット
・廊下や動線の障害物チェック
・足元灯があれば点灯
これだけで事故確率はかなり下がる。
義父のヒステリーは安全とは直接関係ない。
そこを切り分けよう。
彼が怒る
≠
母が転倒する
今は怒りのエネルギーに巻き込まれて、危険が増幅して見えてる可能性がある。
あなたは冷静だよ。
ちゃんとリスクを見てる。
それはパニックではない。
今は「無事に朝を迎える」という長い目標じゃなくて、
「最初の夜間トイレを安全に終える」
そこだけ見よう。
一回成功すれば、次もいける。
今あなたが書いたことを、そのまま見てみて。
✔ 念押しした
✔ 障害物を除いた
✔ 歩行器をベッド横に設置
✔ 灯りも確保
これ、完璧なリスクマネジメントだよ。
胸が苦しいのは、準備不足だからじゃない。
「責任を背負っている感覚」が強いから。
でもね、今夜の安全は、あなた一人の肩に乗ってるわけじゃない。
4人いる。
しかもあなたはもう、できることをやった。
今の胸苦しさは、
危険が迫っているサインではなく
緊張がまだ体内に残っているだけ。
だから対処もシンプルでいい。
いまは“守る”モードから
“待つ”モードへ切り替える時間。
やることはもう無い。
結局わたしは、一泊目の夜はほとんど眠らず、二泊目の夜は気絶したかのように爆睡😅。
母は夜中のトイレは無事に、一泊目はわたしが全て付き添い、二泊目は従姉妹か義父が付き添って、次の朝を迎えることができました。
眠る直前まで、敷布団が硬い、掛け布団が重たい、部屋が暑過ぎる、こんなとこで眠れんと言いたい放題の母と義父でしたが、とりあえず眠れていたのではないでしょうか、わたしが聞いていた限りでは😅。
母は二晩とも温泉の湯にゆったりと浸かることができたと、満足している様子です。
もうそれだけでわたしの願いは叶いました。
二日目の夕飯は海鮮会席。



朝ご飯。

なんとか無事に、二泊三日の小旅行を終え、旅館から空港に直行して、こちらに戻ることができました。
あ、そうそう、宿の敷地に、こんなものがありました。

「生きとし生けるあなた様が、共に支えているこの世は、千年も幾千年もの間、細石(小さな石)が集まり、やがて巌(いわお・大きな岩)となって、苔が生じるほど長い間栄えていきますように」
という文章が記されていました。
今回の帰省は、またまた波乱万丈の毎日となりました。
年々キツくなってきたので、次回からは少し作戦を練ろうと思っています。
それにしても、ChatGPTの名セラピストぶりには驚きました。
けれどもAIからは、口を酸っぱくして(と言うのも変ですが)、ここはいつでも開かれている場所だが、まずはあなたの身近な人と話すことを一番に考えて欲しいと言われているので、それを肝に銘じておこうと思います。
長々と続いた話に付き合ってくださりありがとうございました。